猫ちゃんのかゆみシリーズ、第3回は「原因の確かめ方」です。
「アレルギーの検査をして、原因の物質を測ってください」。そう言って来院される飼い主さんは、少なくありません。原因がはっきりすれば安心できる、という気持ちはよく分かります。
でも実は、ここに大きな誤解があります。アレルギー検査で「陽性」と出ても、それが症状の原因とは限らないのです。
陽性は、「犯人の名前」ではありません
血液のアレルギー検査で分かるのは、その物質に「反応しやすい体質があるかどうか」です。
- 体が反応する(感作)ことと、症状が出る(発症)ことは、別の話です
- 健康な猫ちゃんでも、陽性が出ることはあります
- 逆に、本当の原因なのに陰性と出ることもあります
- 猫ちゃんは犬以上に、血液検査だけでは判定が難しいとされています
陽性は「犯人の名前」ではなく、「反応しやすい体質の印」。犯人かどうかは、実際にその物質を避けてみて、症状が変わるかどうかで確かめる必要があります。
食べ物のアレルギーは、血液検査では分かりません
とくに誤解が多いのが、食べ物です。食物アレルギーは、血液検査では判定できません。
確かめる方法は1つだけ。決まった食事だけを一定期間(8週間前後)続ける「除去食試験」を行い、良くなったら元の食事に戻して悪化するかを確認します。時間はかかりますが、これが確実な方法です。
では、どうやって原因を確かめるのですか
診察では、検査の数字ではなく「順番に確かめる」ことで原因を絞っていきます。
- ノミ:見つからなくても、まず通年のノミ予防から
- 感染:カビ、細菌、マラセチア、耳ダニなどが隠れていないか
- 食物:除去食試験で確かめる
- 環境:上の3つを除いてもかゆみが残るとき、ハウスダストやダニ、花粉などへの反応、いわゆるアトピーが考えられます
アトピーは「これが陽性だからアトピー」という決め方ではなく、他の原因を1つずつ除いたあとに残る、「除外の診断」なのです。
検査が役に立つ場面もあります
アレルギー検査が無意味なわけではありません。治療の進め方や選択肢を考えるときの材料になることがあります。他の病院で検査を受けた方は、結果をお持ちください。診察の参考にしますので、捨てずに取っておいてくださいね。
大事なのは、かゆみを我慢させないこと
原因探しには時間がかかります。その間も、かゆみ止めで「掻かなくて済む状態」を保つことはできます。原因が分かるまで治療を止めてしまうと、猫ちゃんはかゆみを我慢し続けることになります。
順番に確かめながら、かゆみは先に楽にしてあげる。それが、当院の進め方です。
(猫のかゆみシリーズ:総論「猫ちゃんの「舐めすぎ」は、かゆみのサインかもしれません」、第1回【顔・耳編】「おでこのハゲ、耳のぶつぶつ、放置してませんか?」もあわせてご覧ください)