猫ちゃんは、かゆくても「かゆい」とは言えません。しかも猫の場合、かゆみは「掻く」だけではなく、「舐める」という形で出ることがとても多いのです。
お腹や足の毛が薄くなっている、毛づくろいにやたら時間がかかる、毛玉を吐く回数が増えた。そんな変化が、かゆみを我慢しているサインかもしれません。
猫のかゆみは、こんな形で出ます
犬のアトピー性皮膚炎とは違い、猫のかゆみの出方にはいくつかのパターンがあります。
- 顔や首を掻く:顔、首、耳の後ろに掻き傷やかさぶたができる
- 舐めすぎによる脱毛:お腹、脇腹、足などを舐め続けて、毛が薄くなったり切れたりする
- 粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん):背中や首に、粟粒のような小さなブツブツ・かさぶたがたくさんできる
- 好酸球性肉芽腫群(こうさんきゅうせいにくげしゅぐん):上唇がただれる(無痛性潰瘍)、お腹や内股に赤く盛り上がったただれができる、後ろ足に線状の盛り上がりができる
病名は難しく見えますが、大事なのは「いつもと違う舐め方・掻き方をしていないか」に気づいてあげることです。
まず確かめるのは、ノミと感染です
かゆみの原因はアレルギーだけではありません。診察では、まず次のことを確かめます。
- ノミ:猫のかゆみの原因として、とても多いのがノミへのアレルギーです。室内飼いでも、人の靴や衣類について入ってくることがあります。通年でのノミ予防が基本です。
- 感染:カビ(皮膚糸状菌症)や細菌、マラセチアなどが隠れていないか。感染があるときは、先にそちらの治療が必要です。
- 食物:特定の食べ物へのアレルギーが疑われる場合は、決まった食事だけを一定期間続ける「除去食試験」で確かめます。おやつや家族のあげる一口も結果を曇らせてしまうので、ご家族みんなの協力が大切です。
これらを除いてもかゆみが続くとき、ハウスダストやダニ、花粉など環境へのアレルギー、いわゆる猫のアトピーが考えられます。
治療は、「我慢させない」ことが中心です
アトピーは体質の病気なので、完治というより「かゆみなく普通に暮らせる状態を保つ」ことが目標になります。
かゆみ止めのお薬には、ステロイドやシクロスポリン、かゆみの「信号」を抑える薬など、いくつかの選択肢があります。猫の体は犬と違うので、薬の種類や量はその子に合わせて決め、使い方や注意点は診察のときにご説明します(お薬との付き合い方については、皮膚コラム「お薬のんで大丈夫?」もあわせてご覧ください)。
かゆみを我慢させ続けると、眠れなくなったり、掻き壊して化膿したりと、それ自体が体への負担になります。怖がりすぎず、頼りすぎず。その子のちょうどいいバランスを一緒に探していきましょう。
おうちでは、ノミ予防を続けることと、室内のほこりを減らすこまめな掃除が助けになります。猫ちゃんはシャンプーを嫌がる子が多いので、無理に洗う必要はありません。薬浴が向いている場合は、病院で行うこともできます。
こんなときは、受診してください
- お腹や足の毛が、目に見えて薄くなってきた
- 毛づくろいの時間が、前より明らかに長い
- 顔や首に掻き傷・かさぶたができている
- 唇や、お腹・内股にただれがある
- 背中に小さなブツブツがたくさんある
「ただの毛づくろいかな」と様子を見ているうちに、かゆみが広がっていることもあります。気になる変化があれば、早めに診せてください。かゆみのない毎日は、猫ちゃんの何よりのごちそうです。