【皮膚】お薬のんで大丈夫?

「お薬は、できるだけ使いたくないんです」

診察で、そうおっしゃる飼い主様がいます。副作用が心配で、かゆみ止めのお薬を控えめにしてしまう。そのお気持ちは、とてもよく分かります。大切な子に飲ませるものですから、心配になるのは当然です。

でも、大切なのは「薬を使わないこと」ではありません。

アトピー性皮膚炎の治療では、薬の副作用を心配するあまり、強いかゆみを我慢させてしまうことがあります。しかし、強いかゆみが続けば、ワンちゃんも猫ちゃんも眠れなくなったり、皮膚を掻き壊したり、感染症を繰り返したりします。

つまり、薬を使うことにもリスクがありますが、十分に治療しないことにもリスクがあります。その子の状態を見ながら「ちょうどいいところ」を探していくのが治療です。当医院でかゆみの治療の中心にしている、アポキルとゼンレリアという2つのお薬についてお話しします。

かゆみの「信号」を抑えるお薬

アレルギーによるかゆみは、体の中で「かゆい」という信号が送られることで起こります。アポキルとゼンレリアは、その信号の通り道を途中で抑えるお薬(JAK阻害薬)です。

ステロイドのように体全体に広く働きかけるのではなく、かゆみの信号に狙いを定めているため、ステロイドで心配されるような副作用(水をたくさん飲む、食欲が増えすぎるなど)が少ないのが特徴です。効き始めるのが早く、早ければその日のうちにかゆみが楽になる子もいます。

アポキル(成分名:オクラシチニブ)

世界中で10年以上使われてきた、実績のあるお薬です。当初は1日2回、最長14日間飲んでいただき、その後は1日1回の維持に切り替えます。長く使われてきた分、情報が多く、安心感のあるお薬です。

ゼンレリア(成分名:イルノシチニブ)

新しく登場したお薬です。アポキルと同じ仕組みでかゆみの信号を抑えますが、こちらは最初から1日1回でよく、食事の前後を問いません。1日2回の飲ませ忘れが心配な方や、生活リズムに合わせたい方には、続けやすさが魅力です。

どちらのお薬にも共通する注意点

  • 始める前に、皮膚に細菌やカビ、寄生虫などの感染がないかを調べます。感染があるときは、まずそちらの治療が先です。
  • 1歳未満の子、体重3kg未満の子、重い感染症のある子などには使えません。
  • 長く続ける場合は、定期的に体調や血液検査で様子を確認しながら使います。

どちらのお薬が合うかは、その子の年齢や体の状態、かゆみの強さ、そして飼い主様の生活リズムによって変わります。「1日2回は難しい」「まずは実績のあるものから」など、ご希望も含めて一緒に選びましょう。

かゆみを我慢させることが、その子にとって一番つらい治療になってしまうことがあります。「のませるのが怖い」と思ったら、我慢させる前に、まず相談してください。

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